保険で損をしたくない。保険金を受け取りたいみなさまへ

保険業界非公認 ”支払担当者”の保険サポートガイド

生命保険・医療保険・がん保険・かんぽ・共済/”手術給付金”のすべて

更新日:

生命保険・医療保険・がん保険など保険金の請求で、もっとも苦情(クレーム)が多いのは”手術給付金”です。代表的なのは、”手術を受けたのに保険金が支払われない”とか、”他社は支払われたのに、なぜ対象外(非該当)なのか”といった感じです。世間一般では、”手術を受ければ保険金は支払われる”とお考えの人がほとんどです。しかし、保険で支払対象となる手術は”約款”で定められており、すべての手術が保険の対象となるわけではありません。世間一般の認識と保険約款の保障範囲にずれがあり、日々トラブルが発生しています。

保険で支払対象となる手術は、最近主流の公的医療保険(健康保険)連動型タイプであれば約1,000種類、従来型の手術88種タイプであれば約600種類と言われています。日本国内の病院で手術を受けた場合、レーシックや美容整形など”自費の手術”を除いて健康保険が適用され、手術料(医科診療報酬点数)が算定されます。手術料は”Kコード”と呼ばれ、K000創傷処理からK950特定医療材料まであります。KコードはK000-2小児創傷処理(6歳未満)など、枝番まで含めると約1,000種類に分類されています。

公的医療保険連動型タイプの支払対象となる手術が約1,000種類とされるのは、手術料(医科診療報酬点数)が算定される手術(Kコードがある手術)が約1,000種類のためです。そもそも生命保険・医療保険・がん保険の支払対象となる手術は、約款でどのように規定されているのでしょうか。

スポンサーリンク

手術の定義

”治療を直接の目的”として、器具を用い、生体に切断、摘除などの操作を加えることです。吸引、穿刺などの処置、および神経ブロックは除きます。美容整形上の手術、疾病を直接の原因としない不妊手術、診断・検査(生検・腹腔鏡検査など)は、治療を目的とした手術には該当しません。

公的医療保険(健康保険)連動型タイプ(JA共済含む)

公的医療保険制度の分類は次のとおりです。制度によって、手術給付金の支払可否が変わることはありません。

・健康保険(全国健康保険協会〔協会けんぽ〕、各種健康保険組合)⇒企業の従業者や日雇労働者など
・共済組合(各種共済組合)⇒国家・地方公務員や私学教職員など
・船員保険(社会保険庁/平成22年からは全国健康保険協会が運営)⇒船舶の船員など
・国民健康保険(市町村、各種国民健康保険組合)⇒自営業者や退職者など
・後期高齢者(長寿)医療制度(後期高齢者医療広域連合)⇒75歳以上の人および65歳~74歳で一定の障害の状態にある人

公的医療保険制度における医科診療報酬点数表に手術料の算定として列挙されている診療行為が対象です。一般的に次の4項目は”除外手術”と規定されています。

①創傷処理、デブリードマン
②皮膚切開術
③骨・関節の非観血的整復術、非観血的固定術、非観血受動術
④抜歯術

さらに、保険会社(第一生命、アフラック、オリックス生命、あんしん生命、メディケア生命 など)によっては、下記手術も除外手術とされています。

①鼓膜切開術
②異物除去術(外耳・鼻腔内)
③鼻焼灼術(鼻粘膜・下鼻甲介粘膜)
④魚の目・タコ手術(鶏眼・胼胝切除術)

なお、外来での手術か入院を伴う手術かによって、給付倍率が異なるのが一般的です。例えば、大腸ポリープ切除術、水晶体再建術、流産手術など、外来でも入院でも行われる手術は、”入院”で手術したほうが保険金を多く受け取ることができます。

手術88種タイプ(給付倍率10倍~40倍)

2010年以前に主流であった従来型の88種類のタイプです。これは、88種類の手術だけが、お支払い対象というわけではありません。手術を部位ごとに分け、「呼吸器・胸部の手術」であればNo14~No18、「消化器の手術」であればNo26~No37、「悪性新生物の手術」であればNo80~No82というように、88種類のどれに該当するかを判断し、お支払い金額を決定します。なお、No1~No88 のいずれの手術にも該当しない、保険会社が判断した場合は、お支払い対象外です。一般的に入院給付金を日額10,000円で契約している場合、手術給付金のお支払い金額は、給付倍率10倍なら10万円、20倍なら20万円、40倍なら40万円となります。

このタイプは昭和から平成にかけて、長らくほとんどの保険会社・保険契約で採用されていました。ちょっと専門的ですが、根拠となる資料は、「昭和53年12月15日行政管理庁告示第73号に定められた分類項目中下記のものとし、分類項目の内容については、「厚生省大臣官房統計情報部編、疾病、傷害および死因統計分類提要、昭和54年版」です。各社の約款を見比べてみても、金太郎飴のように、どれも同じ内容で記載されています。

手術によって、入院給付金日額の10倍~40倍に分類されています。該当手術は約600種類、下記88種のいずれかに該当するかしないかが、手術給付金の支払可否のポイントです。

§皮膚・乳房の手術
1.植皮術(25㎠未満は除く。)・20倍
2.乳房切断術・20倍
3.骨移植術・20倍

§筋骨の手術(抜釘術は除く。)
4.骨髄炎・骨結核手術(膿瘍の単なる切開は除く。)・20倍
5.頭蓋骨観血手術(鼻骨・鼻中隔を除く。)・20倍
6.鼻骨観血手術(鼻中隔弯曲症手術を除く。)・10倍
7.上顎骨・下顎骨・顎関節観血手術(歯・歯肉の処置に伴うものを除く。)・20倍
8.脊椎・骨盤観血手術・20倍
9.鎖骨・肩胛骨・肋骨・胸骨観血手術・10倍
10.四肢切断術(手指・足指を除く。)・20倍
11.切断四肢再接合術(骨・関節の離断に伴うもの。)・20倍
12.四肢骨・四肢関節観血手術(手指・足指を除く。)・10倍
13.筋・腱・靱帯観血手術(手指・足指を除く。筋炎・結節腫・粘液腫手術は除く。)・10倍
14.慢性副鼻腔炎根本手術・10倍

§呼吸器・胸部の手術
15.喉頭全摘除術・20倍
16.気管・気管支・肺・胸膜手術(開胸術を伴うもの。)・20倍
17.胸郭形成術・20倍
18.縦隔腫瘍摘出術・40倍
19.観血的血管形成術(血液透析用外シャント形成術を除く。)・20倍

§循環器・脾の手術
20.静脈瘤根本手術・10倍
21.大動脈・大静脈・肺動脈・冠動脈手術(開胸・開腹術を伴うもの。)・40倍
22.心膜切開・縫合術・20倍
23.直視下心臓内手術・40倍
24.体内用ペースメーカー埋込術・20倍
25.脾摘除術・20倍

§消化器の手術
27.顎下腺腫瘍摘出術・20倍
28.食道離断術・40倍
29.胃切除術・40倍
30.その他の胃・食道手術(開胸・開腹術を伴うもの。)・20倍
31.腹膜炎手術・20倍
32.肝臓・胆嚢・胆道・膵臓観血手術・20倍
33.ヘルニア根本手術・10倍
34.虫垂切除術・盲腸縫縮術・10倍
35.直腸脱根本手術・10倍
36.その他の腸・腸間膜手術(開腹術を伴うもの。)・20倍
37.痔瘻・脱肛・痔核根本手術(根治を目的としたもので、処置・単なる痔核のみの手術は除く。)・10倍
38.腎移植手術(受容者に限る。)・40倍

§尿・性器の手術
39.腎臓・腎盂・尿管・膀胱観血手術(経尿道的操作は除く。)・20倍
40.尿道狭窄観血手術(経尿道的操作は除く。)・20倍
41.尿瘻閉鎖観血手術(経尿道的操作は除く。)・20倍
42.陰茎切断術・40倍
43.睾丸・副睾丸・精管・精索・精嚢・前立腺手術・20倍
44.陰嚢水腫根本手術・10倍
45.子宮広汎全摘除術(単純子宮全摘などの子宮全摘除術は除く。)・40倍
46.子宮頸管形成術・子宮頸管縫縮術・10倍
47.帝王切開娩出術・10倍
48.子宮外妊娠手術・20倍
49.子宮脱・膣脱手術・20倍
50.その他の子宮手術(子宮頸管ポリープ切除術・人工妊娠中絶術を除く。)・20倍
51.卵管・卵巣観血手術(経膣的操作は除く。)・20倍
52.その他の卵管・卵巣手術・20倍

§内分泌器の手術
54.甲状腺手術・20倍
55.副腎全摘除術・20倍
56.頭蓋内観血手術・40倍

§神経の手術
57.神経観血手術(形成術・移植術・切除術・減圧術・開放術・捻除術。)・20倍
58.観血的脊髄腫瘍摘出手術・40倍
59.脊髄硬膜内外観血手術・20倍
60.眼瞼下垂症手術・10倍

§感覚器・視器の手術
61.涙小管形成術・10倍
62.涙嚢鼻腔吻合術・10倍
63.結膜嚢形成術・10倍
64.角膜移植術・10倍
65.観血的前房・虹彩・硝子体・眼窩内異物除去術・10倍
66.虹彩前後癒着剥離術・10倍
67.緑内障観血手術・20倍
68.白内障・水晶体観血手術・20倍
69.硝子体観血手術・10倍
70.網膜剥離症手術・10倍
71.レーザー・冷凍凝固による眼球手術(屈折矯正手術を除く。施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。)・10倍
72.眼球摘除術・組織充 塡術・20倍
73.眼窩腫瘍摘出術・20倍
74.眼筋移植術・10倍

§感覚器・聴器の手術
75.観血的鼓膜・鼓室形成術・20倍
76.乳様洞削開術・10倍
77.中耳根本手術・20倍
78.内耳観血手術・20倍
79.聴神経腫瘍摘出術・40倍
§悪性新生物の手術
80.悪性新生物根治手術・40倍
81.悪性新生物温熱療法(施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。)・10倍
82.その他の悪性新生物手術・(内視鏡または血管バスケットカテーテルによる手術を除き、乳房再建術を含む。ただし、乳房再建術は一乳房につき1回の給付を限度とする。)20倍

§上記以外の手術
83.上記以外の開頭術・20倍
84.上記以外の開胸術・20倍
85.上記以外の開腹術・10倍
86.衝撃波による体内結石破砕術(施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。)・20倍
87.ファイバースコープまたは血管・バスケットカテーテルによる脳・喉頭・ 胸・腹部臓器手術(検査・処置は含まない。施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。)・10倍

§新生物根治放射線照射
88.新生物根治放射線照射(50グレイ以上の照射で、施術の開始日から60日の間に1回の給付を限度とする。)・10倍

がん保険

がん保険の手術給付金は、”がんを直接の目的とする手術であること”が支払要件です。

具体的には、内視鏡や開腹手術で切除した腫瘍が”悪性”であった、がんに対する放射線治療・温熱療法(いずれも60日に1回)などが支払対象です。手術倍率は入院日額の10倍~40倍、もしくは一律型がほとんどですね。

一方、がんの合併症に対する手術は対象外です。具体的には、膀胱がんで水腎症になり経皮的尿管ステント留置術を受けたといったケース、皮膚がんで皮膚悪性手術をした後に全層植皮術をしたケースなどが挙げられます。

がんの手術と判断できるかどうかのポイントは、手術によって悪性腫瘍を切除したかどうかですね。保険会社、個別ケースによって、支払判断が分かれるところであり、苦情(クレーム)も少なくありません。

ご参考 ⇒ がん保険が支払われない7つの事例/トラブル・苦情の理由

かんぽ生命(2008年(平成20年)7月~)

手術88種と公的利用保険連動型を組み合わせたタイプです。該当手術は95種類に加えて、手術料が算定されていれば入院日額の5倍が対象です。一見、最強の手術保障ですが、実は”入院をともなう手術”という縛りがあり、外来での手術はすべて対象外です。外来手術が増えつつある現在では、最弱の保障と言っても過言ではありません。

ご参考 ⇒ 病院・診療所、介護療養型医療施設など/医療保険・入院の支払事情

全労済(こくみん共済)、コープ共済、教職員共済

手術88種タイプと類似したタイプです。該当手術は全労済(こくみん共済)が94種、コープ共済が140種、教職員共済が148種と若干細分化されています。基本的な考え方や保障額については、手術88種タイプとほぼ変わりません。

都民共済・府民共済・県民共済/診療報酬点数連動型

入院の有無にかかわらず、診療報酬点数が1,400点以上が手術共済金の対象です。手術毎の診療報酬点数は、しろぼんねっとで確認できます。

◇対象外の手術

  1. 診療報酬点数が1,400点未満の手術
    ※こども型は、点数にかかわらず支払い対象となります。
  2. 創傷処理
    すり傷、切り傷、裂き傷、刺し傷を洗浄や止血、縫合すること
  3. 皮膚切開術
  4. デブリードマン
    感染、壊死組織を切除し他の組織への影響を防ぐために行う外科処置等のこと
  5. 骨または関節の非観血的整復術
    非観血的整復固定術および非観血的授動術
    骨折または関節脱臼等に際して、メスを使わず、皮膚のうえから手等を使って元の状態にもどすこと
  6. 抜歯
    歯を抜くこと
  7. ご加入(コース変更)後1年以内の帝王切開

手術給付金の該当可否を確認するには?

手術名、手術コード(Kコード)が分かれば、下記手術の分類表にて該当可否を確認できます。保険会社の問い合わせ窓口でも回答してもらえると思います。ご注意点としては、「ポリープやイボを取った」とか、「骨折して手術した」などのように、症状や治療方法で手術給付金がでるかどうか回答を求めるのではなく、病院(医師or医事課などの事務受付)で、手術名と手術コードを確認してから、保険会社に問い合わせするのがスムーズです

ただし、いずれも保険金が支払われるかどうかは、保険会社に診断書など請求書類一式を提出したあと、保険金支払部署にて支払判断が行われます。営業担当者や問い合わせ窓口でで、”この手術なら保険金が支払われます”と言われても、けっして鵜呑みにしないことですね。保険金支払いに精通している人は、それほど多くありませんし、何よりも保険金支払いの決裁権限ががありません。あくまでも、参考程度にされるのがよいと思います。

医科診療報酬点数表における手術のすべて

手術料が算定される手術は約1,000種類です。すべての手術について、Kコード順に手術88種の倍率をご紹介いたします。手術名・Kコードは医療機関で確認するのがおすすめです。また、しろぼんねっとでも検索できます。

・皮膚・皮下組織 ⇒ 皮膚、皮下組織(創傷処理・皮膚切開など)/医療保険・手術のすべて

・筋骨格系・四肢・体幹 ⇒ 筋骨格系・四肢・体幹(腰痛・骨折など)/医療保険・手術のすべて

・神経系・頭蓋 ⇒ 神経系・頭蓋(脳梗塞・脳出血・神経炎など)/医療保険・手術のすべて

・眼 ⇒ 眼科(ものもらい、結膜炎、白内障など)/医療保険・手術のすべて

・耳鼻咽喉 ⇒ 耳鼻咽頭(中耳炎・扁桃腺炎・副鼻腔炎など)/医療保険・手術のすべて

・顔面・口腔・頸部 ⇒ 顔面・口腔・頚部(親知らず・甲状腺など)/医療保険・手術のすべて

・胸部 ⇒ 胸部(乳腺腫瘍・乳房再建・食道狭窄など)/医療保険・手術のすべて

・心・脈管 ⇒ 心・脈管(狭心症・心筋梗塞・腎不全など)/医療保険・手術のすべて

・腹部 ⇒ 腹部(ヘルニア・虫垂炎・痔・ポリープなど)/医療保険・手術のすべて

・尿路・副腎 ⇒ 尿路・副腎(尿管結石・水腎症・膀胱腫瘍など)/医療保険・手術のすべて

・性器 ⇒ 性器(前立腺・子宮・卵巣・卵管・分娩など)/医療保険・手術のすべて

スポンサーリンク

まとめ

保険会社、加入時期によって、手術の保障範囲は千差万別です。保障範囲が広いのは公的医療保険連動型、保障範囲は狭いけれど保険会社の支払総額が多いのは手術88種、分かりやすいのは都民共済・府民共済・県民共済の診療報酬点数型です。

手術したのに保険金が支払われない、といったトラブルは本当に多いです。対策としては、現在の保障内容を確認し、保険の見直しや追加契約を検討されることをおすすめいたします。

 

おすすめ記事

1

生命保険や医療保険、がん保険を比較するとき、必ずといっていいほど”保険料”と”保障”を比較、ランキング形式で紹介されています。ネットや雑誌のみならず、複数の保険会社を取り扱う来店型ショップ(ほけんの窓 ...

2

数年来、日本列島各地では夏場の猛暑により、”熱中症”になる方が増えています。「部活動中の中学生が熱中症で病院に搬送」とか、「節約のためにエアコンを我慢した高齢者が、自宅で熱中症になり緊急搬送」など、ニ ...

3

日本人女性の16人に1人が発症するといわれる乳がん。国立がん研究センターによると、乳がんの死亡者数は約13,000人、女性ではがん死亡全体の約9%です(2013年度)。乳がんの罹患数は約72,500人 ...

4

一寸先は闇・・・、何の前触れもなく、突然の不幸に見舞われるのが人生です。 健康はお金では買えませんが、万が一の病気や怪我に備えて、経済的な損失を準備するために”生命保険・医療保険・がん保険”などは存在 ...

5

現代の日本では、3人に1人がんで亡くなっています(年間30万人以上)。また、生涯でがんになる可能性は、男性で2人に1人、女性で3人に1人と推測され、日本人にとって”がんは国民病”といっても過言ではあり ...

-手術
-,

Copyright© 保険業界非公認 ”支払担当者”の保険サポートガイド , 2017 AllRights Reserved.