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保険金受取人が認知症で請求できない事例/代筆請求・成年後見人

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4人に1人が65歳以上となり、超高齢化社会を迎えた日本。1,400兆円といわれる個人金融資産の6割を占めるのも、高齢者の方々です。この大切な資産を少しでも多く子や孫に残してあげたいとの親心から、一時払い終身など生命保険を活用する人も増えています。一方、資産は残してあげることはできないけれど、自分の死後にせめて迷惑だけはかけたくないとの思いから、定期・終身保険などの死亡保障に加入する人も少なくありません。

死後の整理資金(葬式代など)や老後の蓄えなどを目的とした終身保険に加入する場合、契約者・被保険者は本人、受取人は配偶者とするのが一般的です。今回の事例は、40歳のときに1,000万の終身保険に加入した70歳のAさん。受取人は妻のBさんで、一人息子のEさんがいます。Aさん夫妻は、貯金はないものの、利率の良いときに加入したいわゆる”お宝保険”である虎の子の終身保険を大切にしていました。

ある日、妻のBさんが階段で転倒し、大腿骨骨折の重傷を負いました。入院が長期化するにつれて、だんだんと弱っていくBさん。退院後はめっきり体力がなくなり、日常生活にも支障をきたすようになりました。そして、認知症も発症してしまい、Aさんの懸命な介護によってなんとか生活している状況でした。Bさんの認知症はどんどん進行し、長年連れ添ったAさんのことさえわからないほどになりました。さらに悪いことは重なるもので、Aさんも病に倒れ、あっという間に亡くなってしまいました。

一人息子のEさんはAさんのお葬式を滞りなく執り行い、Bさんを引き取って自宅で介護することにしました。Eさんはお葬式代と、自宅をバリアフリーに改装するため、Aさんが加入していた終身保険の請求手続きを行いました。すると、保険会社から、”受取人はBさんなのでBさんから請求してください”と案内がありました。

Bさんは認知症で手続きができないので、AさんとBさんにとって唯一の法定相続人であるEさんに至急支払ってほしいと食い下がりましたが、保険会社からは請求権利がないとまったく相手にされませんでした。Bさんは認知症が進行しており、とても保険請求できる状態ではありません。Eさんは終身保険1,000万円を受け取ることはできないのでしょうか。

Eさんが保険金を受け取るためには、家庭裁判所にBさんの成年後見人として登記することが必要です。しかし、成年後見人登記の手続きは、時間もお金もかかります。もし仮に、Bさんが請求書類は書けないまでも、請求する意思さえあったならば、Eさんが”書類を代筆”して、Bさん名義の口座へ支払ってもらうことができたかもしれません。受取人が認知症かどうかなんて、保険会社は知る術がありません。さらに、受取人の筆跡が本人かどうかなんて、分かりようがありません。本人名義・本人口座がしていされていれば、そのまま支払となるケースがほとんどですね。しかし、晩年のAさんさえ認識できないBさんの病状ではとても無理な相談です。正当な手続きで終身保険1,000万円を受け取るためには、Eさんには成年後見人の登記しか道は残されておりませんでした。

もし仮に、Bさんに保険金を請求する意思さえあれば、Eさんが代わりに保険金請求書を記載して、保険金請求できるのが一般的です。これは”代筆請求”ですので、保険金受取人名・口座名義ともにBさんであることがポイントです。

保険会社によっては、EさんとBさんの事情を勘案し、Eさんから”今後、Bさんの病状が回復したとしても、保険金の請求においては一切迷惑をかけない”という旨の”念書”を取り付けたうえで、Eさんへ保険金を支払うケースもあるようです。一見、お客さま視点に立った素晴らしい対応かとは思いますが、法律的に”念書による支払”には何の対抗要件もありません。

仮に、Eさんへ保険金を支払った後で、Bさんの認知症が劇的に改善し、Bさんが保険請求をしたとしたら、保険会社は支払いを拒むことはできないでしょう。保険会社としては、良かれと思って支払ったことが、裏目に出てしまう可能性も否定できないのです。そのため、保険会社としては念書払いをするのであれば、本当にBさんは認知症なのか、Eさんは信用に足る人物であるのかなど、詳細な調査を行うことでしょう。

もちろん、念書払いは保険約款のどこにも記載されていないので、他社では支払ってもらったとか、知人が念書払いをしてもらったので、自分にもしてほしいなどの要望があったとしても、念書払いはお約束できるものではなく、むしろごく例外的な事例と考えた方がよいかもしれません。

今回の事例では、保険金受取人のBさんに請求意思がないこと、一人息子のEさんであってもBさんの成年後見人にならなければ保険金が受け取れないことが問題でした。万一の際に、残された家族がスムーズに保険請求できるように、人生の節目節目で信頼できる子供に受取人変更するなどの手続きを行うことをお勧めいたします。

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